犬山市の「博物館 明治村」に、西郷従道が明治10年代に東京目黒に建てた洋館が移築されています。
当時従道は明治政府の中枢的な地位にあり、在日外交官との接触も多くあったため、主にお客さんを迎えるゲストハウスとして建てられたものです。
木造総二階建銅板葺のこの洋館は、フランス人建築家レスカスの設計とされ、半円形に張り出されたベランダ、内開きのガラス戸に外開きの鎧戸、銅板を葺いた屋根など、当時として大変先進的な建物でした。
現在は重要文化財に指定されています。
建物は従道邸ですが、室内の家具調度は色んな所から収集されたものです。
例えば書斎にあるこの飾棚は、皇室で使用されていたものです。
こちらは食堂
隣の部屋の天井は、鉄板を押して成型したものを張り付けているそうです。
この部屋は夫人室。椅子はダルマ型の背もたれになっています。
これは、後ろが膨らんだドレスを着ていても、着物を着ていても、座りやすいように造られているそうです。
二階へと続く、流れるような曲線の廻り階段。
見た目にも美しく、昇り降りも大変楽です。
二階の応接室
西郷邸には、黒檀製や鉄製などいくつかの暖炉がありました。
応接室の暖炉は陶器製で、日本三景の絵が描かれています。
広いベランダ。
明治天皇も西郷邸を訪れられた事があり、このベランダから催し物を眺めたと伝わります。
居間にある長椅子は鹿鳴館で使用されていたもの。
竹で造られた枠には蒔絵が施され、大変貴重なものだそうです。
そして、最後は寝室。
ベッド横のサイドテーブルに入ってるこの綺麗な容器は、何だと思いますか?
この入れ物は「チェインバーポット」と言い、夜間用の便器だそうです。
チェインバーポットはヨーロッパで広く使われていましたが、日本人にはあまりなじみがなく、そのため、福沢諭吉がヨーロッパを旅行した時、このきれいな入れ物を見て宝物を入れる容器だと思い、持ってきた大事な仏様を入れていたといういう話も残っているそうです。
ちなみにこれは、日光金谷ホテルの客室で使用されていたものです。
参考までに。
一階部分は自由に観覧できますが、二階部分は決まった時間に案内されます。
前もって時間を調べてから行った方がいいようです。
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